スイスのスイスフランについて
スイスフランは、外国為替市場でも名前の知られているメジャーな通貨の一つで、その安定性の高さから、世界中で根強い人気を持っています。
スイスフランの遍歴
【スイスフランとは】
スイスフランは、スイスと隣国であるリヒテンシュタインとその他の地域で使われており、ヨーロッパ圏ではユーロや英ポンドなどと同じように、主流の通貨となっています。
また、その安定性からユーロや日本円などと同じく、
決済通貨として用いられること
が多く、自国の通貨が不安定である国などは、スイスフランを使って貿易を行ったり、投資取引を行ったりしています。
ご存知の通り、スイス銀行は、徹底した守秘義務と厳密な管理体制が敷かれているために、
世界中の富裕層から絶大な信用と信頼を集めている銀行
であり、その人気はいまでも根強く続いています。
俗に、金よりも堅いなどと言われるスイスフランの安定性は、こうした金融に対する長年の管理と徹底によって築かれたものなので、ほかの通貨が事件や事故などで大きく乱れ場場合には、
安定要素を保つ避難通貨として、スイスフランが買われる傾向があります。
【スイスショック】
しかし、2015年1月15日に、この信頼を崩壊させる
スイスショック
が発生します。
それまでの、スイスフランは安全な通貨である、という絶対的なスイスフラン神話は、2015年1月15日にスイスの中央銀行であるスイス国立銀行が
「スイスフランの対ユーロの上限である1ユーロ=1.20フランを廃止する」
という発表をしたこと背景にして、歴史的な大暴落をしました。
わずか20分の間に、スイスフランと米ドルの為替レートがおおよそ30セント下落し、スイスフランと円の為替レートはおおよそ40円の上昇をしました。
これだけの相場の乱れを生み出すほどの発表ですので、それをすればどんな事態になるかも分かっていたはずですし、ましてや、何の前触れもなく行えば為替市場が大混乱することは認識していたはずなのです。過去にもリーマンショックや、東日本大震災でも大きな相場の変動があり、大混乱が起きたのですが、それでもこのスイスショックには到底及ばない規模になります。一度に大きな値幅動きになりすぎて相場が滞り、ロスカットが追い付かず、このわずかな時間の間に、数百万から千万の単位までの資産を失った投資家もいました。
【スイスフランの今】
絶対的な安全神話は崩れたとしても、スイスフランの強みは残っています。
観光資源や時計などの精密産業、金融機関ももちろんそうなのですが、
スイスは流行や自然に影響を受けない独特の資源を多く持っています
ので、スイスショックの大きな波が収まった頃には、再び安定を取り戻し始めました。
元々の信頼と、金融機関の管理体制の徹底、英セ中立国であるという立場などから、スイスフランは、やはり
安定と安心の強い通貨
であり、長く持ち続けることが出来る安心な通貨であるために、
長期的な取り引きに向いているのです。
スイスフランで投資を考える
スイスフランは、日本の円と同じように、
金利の低い通貨
になります。ですので、
スイスフランを買ってから始まる投資スタイルには、あまり向いていません。
特にスワップポイントを求めていく方式では、
マイナスの金利を損失として積み上げていく可能性
があるからです。もしスワップポイントを狙って運用するのであれば、
スイスフランで金利の高い通貨を買うのが良いでしょう。
日本の投資家は、自国の通貨が円ですので、
自然と低金利の通貨で高金利の通貨を買う形
になり、スワップポイントを狙った投資取引に慣れているのですが、金利の高い通貨の国の場合には、必然的にマイナスのスワップポイントを被ることになり、こうしたコストのカットには非常に敏感です。ちなみに、そうした国の人たちがスワップポイントを狙っていくときには、
日本の円やスイスフランなどを使って自国の通貨を買う
のだそうです。